プラスチック加工で軽量化や強度アップを両立させるコツとは?
製品開発において、プラスチックへの期待は年々高まっています。
とくに金属からの代替(樹脂化)が進む中で、避けて通れないのが 「軽量化と強度のトレードオフ」 です。
「薄くしたら割れた」「補強したら重くなった」……そんな失敗を避け、最高の製品をつくるためのコツを解説します。
1. プラスチックの軽量化のコツ:無駄を削ぎ落とす

軽量化の基本は、単純に「使う樹脂の量を減らす」ことと「軽い素材を選ぶ」ことです。
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肉抜き(肉盗み)
素材の無駄を減らすために強度に影響しない部分や、力のかからない部分のプラスチックを削ります。
射出成形ではただ削るだけでなく「樹脂がしっかり隅々まで流れるか」という流動性を確保しつつ削るのがプロの技です。 -
軽い素材への変更
材料そのものを密度の低い(比重の軽い)素材へと変更します。
汎用性が高く、比重の低いポリプロピレン(PP)などが第一候補に挙がります。 -
発泡素材の活用
発泡スチロールのように、樹脂の内部に微細な気泡を含ませて膨らませることで、体積を維持したまま大幅な軽量化が可能になります。
2.プラスチックの強度アップのコツ:壊れないための工夫

「強度」と一言で言っても、実は中身は様々です。
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必要な性質の見極め
強度には主に、曲げなどに耐える 「硬さ(剛性)」 と、衝撃を吸収する 「粘り強さ(耐衝撃性)」の2つの種類があります。
製品の用途に合わせてどちらが必要なのかを見極めるのが、ムダのない設計のコツです。 -
「リブ」の最適設計
強度を保つためには肉厚にするのが一番簡単ですが、「重くなる・固まりにくい・コストが上がる」とデメリットも多いです。
そこで、薄い壁(リブ)を立てることで、材料を節約しつつ「面」の強度を劇的に高めることができます。 -
「R(アール)」をつける
角の部分に丸み(R)をつける工夫です。
角が鋭利だとそこに力が集中して割れやすくなりますが、丸めることで力を分散させ、破損を防ぐことができます。
3.プラスチックの軽量化・強度アップを両立するには?

さらなる軽さと強度を両立するには、「どこに・どのような力がかかるのか」を正確に把握することが不可欠です。
- 適材適所の設計:
大きな力のかかる部分は頑丈な素材や金属を組み合わせ、それ以外は極限まで薄くする。 - 特殊構造の活用:
ハニカム構造(蜂の巣状)やラティス構造(格子状)のような、空間を賢く利用する構造を取り入れる。
これらを設計段階でシミュレーションし、検討を重ねることが「軽くて強い」への近道です。
【事例紹介】約400kgの軽量化も!ポリプロピレン(PP)の可能性
軽さと強度を両立しやすい素材として、当社が注目しているのがポリプロピレン(PP)です。
高い耐衝撃性を持ちながら、比重が0.9と金属に比べて圧倒的に軽いのが特徴です。
さらに耐食性(錆びにくさ)にも優れているため、当社では消防車用タンクなどを製作しています。
【ここがポイント!】:
2000Lタンクで比較した場合、鉄製に比べて約400kgもの軽量化が見込めます。その分、積める水の量を増やしたり、他の機材を多く載せたりすることが可能になります。
まとめ
プラスチック加工における軽量化と強度アップは、単なる材料選びだけでなく、設計の工夫との掛け合わせで決まります。
軽さと強度を両立することで、積載量が増えたり、取り回しがしやすくなるなどのメリットがあります。
ただし、1つ注意点として「軽量化=コストダウン」と思われがちですが、複雑な構造や高性能な樹脂を採用すると、逆にコストが上がるケースもあります。
製作の前に、まずは 「どの程度の強度が必要で、どこまで軽くしたいか」を専門家と相談しながら進めることが、最終的なコストパフォーマンス向上に繋がります。
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