溶着ってどんなプラスチック加工?溶接・接着との違いは?
プラスチック加工でよく利用される加工方法に「溶着」があります。
溶けて固まる特性を利用し、2つの部品をひとつにくっつける方法で、機密性を高める加工や修理などでよく利用されています。
今回の記事ではこの溶着についてどんな加工でどんなメリットがあるのか解説します。
プラスチック加工の溶着とは
溶着を簡単に説明すると「接合部分のプラスチックを溶かし、圧力をかけてひとつにつなげる」加工方法です。
プラスチックには高温で溶け、低温で固まるという性質があります。これを「熱可塑性」といい、この熱可塑性を利用して2つの素材を溶かしてくっつけるのが溶着です。
プラスチック加工の溶着・溶接・接着の違いは?
部品をくっつけるというと溶接や接着といった加工方法が頭に浮かぶひとも多いと思います。
溶着・溶接・接着どれもプラスチック加工で利用される加工方法ですが、それぞれどんな違いがあるのでしょうか?
溶接
プラスチックの溶接棒を加熱して溶かし、その状態で接合する方法。
溶けた部分が固まることで一体化します。分子レベルで結合するため非常に高い強度を得られます。
接着
接着剤を用いて材料同士を貼り合わせる方法。素材の違うプラスチックや金属、木材とも接着できる。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
溶着 | 接合面が綺麗 機密性、水密性に優れる |
異なる種類の溶着は難しい 熱可塑性プラスチックのみ |
溶接 | 強度が高い 機密性、水密性に優れる |
溶接痕が残る 職人のスキルが強度に影響 |
接着 | 異なる素材を接着できる 複雑な形状にも対応できる 熱に弱い素材にも対応 |
薬品管理の手間 素材によっては使えない 環境変化に弱い |
溶着の方法
溶着ではプラスチックを溶かす工程がありますが、これには以下の方法があります。
熱溶着
熱板、熱風、コテなどを使って加熱し、溶かして接合する方法。
シンプルで汎用性が高く、さまざまなプラスチックに対応しています。
高周波溶着
熱溶着に比べ短時間で済み、接合部以外への熱の影響も少ないです。
超音波溶着
超音波振動によって発生する摩擦熱で溶かして接合する方法。
ほぼすべての熱可塑性プラスチックに使えます。
レーザー溶着
レーザー光でプラスチックを局所的に加熱し、溶かして接合する方法。
非接触のため複雑な形状にも対応できます。
溶着の活用事例
自動車部品
バンパーやダッシュボードのように強度や滑らかさが必要な部品、エンジン室内のタンクのように機密性が重要な部品には溶着を利用することが多いです。
食品
食品のような包装に機密性が必要な分野でも溶着はよく使われています。
超音波溶着は安全性が高いです。
防水シート
水密性が重要な防水シートにも溶着がよく利用されます。
シートの繋ぎ目を溶着することで防水性を高めます。
プラスチック製品の修理
折れたプラスチックを接合修理する場合などに溶着の技術が使われます。
溶かしてくっつけることで接着剤よりも強く接合します。
まとめ
プラスチック加工で使われる溶着という技術について解説しました。
熱可塑性という性質を利用することで接合部に高い強度を持たせることができる便利な方法で、さまざまな分野で活用されています。
プラスチック加工についてもっと詳しく知りたい場合はこちらのリンクも参考にしてみてください。