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切削加工(せっさくかこう)とは?削って成形するプラスチックの加工方法

プラスチックや金属の加工には「切削加工(せっさくかこう)」と呼ばれる方法があります。
この技術は、とくにプラスチック加工において、多品種少量生産へのニーズに応えるためによく利用されています。

この記事では、切削加工とは何か、そのメリットや具体的な使用例について詳しく解説します。

切削加工とは?

切削加工(せっさくかこう)は「切る」、「削る」という字からもわかるようにプラスチックを正確に切断したり、削り取ることで望む形状やサイズに加工する技術のことです。
旋盤をつかってプラスチック材料から形を削り出したり、フライス盤やルーターで正確に穴を開けたりします。

職人が加工するため数十万個加工するような大量生産には向きませんが、複雑な形状を持つ製品や大きな製品のオーダーメイド、数個からの量産が可能な多品種少量生産に向いています

さらに、プラスチックの軽量で加工が容易な特性も切削加工をする上で大きな強みとなります。

切削加工のメリット・デメリット

メリット デメリット
高精度 大規模な大量生産には向かない
多様な形状 量産時にコストが高くなりやすい
柔軟なサイズ 同じ精度、寸法を保つのが難しい
金型なしで量産が可能
1個から量産まで幅広く対応可能

切削加工のメリット

  1. 高精度
    切削加工は非常に高い精度で製品を加工できるため、細部まで正確な形状を実現できます。
  2. 多様な形状
    プラスチック材料から削り出すため、幅広いデザインにも対応可能です。
  3. 柔軟なサイズ
    製品のサイズに関しての自由度が比較的高く、小さなものから大きなものまでさまざまなサイズが作れます。
  4. 金型なしで量産が可能
    射出加工などと違い金型なしで加工できるため、すぐに加工に取り掛かれるほか、初期費用が抑えられます。
  5. 1個から量産まで幅広く対応
    1個から量産まで幅広く対応しているので、小ロット生産やプロトタイプ制作など、さまざまな目的に利用できます。適切な選択をすれば時間やコストを大幅に低くすることも可能です。

切削加工のデメリット

  1. 大規模な大量生産には向かない
    一つひとつ加工するので月産数万個を超えるような大量生産には向きません。
  2. 量産時にコストが高くなりやすい
    切削加工は材料を削り出すので加工時にでた切りくずがムダになってしまいます。
    数に比例して切りくずが増えていくので、量産の規模によっては金型を作るなど別の加工方法を選択した方がお得な場合があります。
  3. 同じ精度、寸法を保つのが難しい
    削った分だけ刃も磨耗します。同じ精度寸法を保つためには刃の管理が重要となり、品質を高めるには職人の技術が必要となります。

切削加工で使われる工作機械

写真はマシニングセンター「DuraVertical5060」

NC旋盤

NC旋盤(せんばん)とはコンピューター制御で高度な切削加工を行う工作機械で、NCはNumerical Control(数値制御)のことです。
回転する素材に刃を当てて削り出し、精密な形状を実現します。
旋盤で作れるものにはシャフトのような自動車部品やネジ切りなどの加工が可能です。

フライス盤

フライス盤は刃物を回転させて材料を削る工作機械です。
フライスやエンドミル、ドリルといった切削工具を用いて平面や段差、溝などの加工をします

マシニングセンター

マシニングセンターはコンピューター制御で回転工具を扱い、フライス削り、中ぐり、穴あけ、ねじ立てなど複数の切削加工をプログラミング通りにしてくれる工作機械です。
工具の自動交換に対応しているのが大きな特徴でこれにより工具交換の手間なくスムーズな加工が可能です。

ルーター

ルーター加工機(ルーター)は板状の素材をテーブルに固定し、切断や溝などの加工をします
プログラムによる精密な制御が可能で、キャラクターの形状に穴を開けたり、表面に彫刻を施すことのできるタイプもあります。

切削加工の活用事例

プロトタイプ作成

新製品の試作品を迅速かつ高精度に作成する際に利用されます。
1個から依頼でき量産にも対応しているのでいろいろなプロトタイプを作るのに向いています

大型設備

金型を必要としないため、工場で使うような一点物の大きな設備に向いています
曲げ加工や溶接と組み合わせることで、密閉度を高めることも可能です。

医療機器

衛生管理が重要な医療機器の部品や装置の製造に利用されます。
高圧に対応したものや透明な物、複雑な形状をしたパイプの加工が可能で、分岐配管や電解槽などの事例があります。

自動車部品

軽量かつ耐久性のある部品の製造に適しています
PP(ポリプロピレン)・PE(ポリエチレン)のもつ軽くて丈夫な特性を利用し、消防車のボディやタンクを製作した事例などがあります。
樹脂製消防車両タンク・ボディ

まとめ

今回はプラスチック加工の主要な方法である「切削加工」についてご紹介しました。
切削加工だけで終わることもありますが、曲げ加工、溶接・接着、研磨する研削加工といった加工と組み合わせて製品を完成させます。

わたしたちテクトでは切削加工と溶接・曲げ・接着加工を組み合わせてさまざまな製品を作っています。
いままで作った製品事例を以下のページで紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
製品事例