部品の軽量化ならプラスチック加工製品で可能かも
部品や工場設備の製作を金属加工会社に依頼しようとしているみなさまへ
その依頼をプラスチック加工で実現するのはいかがでしょうか?要求性能によっては金属よりもプラスチック加工のほうが優れていることも多いです。
金属とプラスチックは大きく異なる性質をもっているので、金属のかわりにプラスチックを使うというのはなかなかイメージしにくいかもしれません。
しかし、技術の進歩によって熱に強いプラスチックや衝撃に強いプラスチックが生み出されたことにより、いままでは金属じゃないと耐熱性や強度が足りなかった場所でもプラスチックが活躍できるようになりました。
この記事ではプラスチックが選ばれる理由やよく使われるプラスチック素材について、プラスチックに切り替える際の注意点などを解説しています。
なぜ金属ではなくプラスチック加工が選ばれるのか
自動車や工業用機械、ギアのような長時間稼働することが想定される部品は金属を使って作るのが長らく当たり前でした。
しかし、技術の進歩によりプラスチックの性能があがったことで、耐熱性に優れたエンジニアリングプラスチックや耐久性の高いプラスチックが登場し、金属のかわりとして使える場面が広がりました。
プラスチックには金属に比べて
・軽い
・安価
・成形しやすい
といった強みがあるのでどんどん金属と置き換わっています。
また、単純な部品の置き換えであれば少しの設計変更で対応できるという利点もあります。
軽い
なんといってもプラスチックは金属に比べて軽いというメリットがあります。
自動車なら燃費の向上に繋がりますし、持ち運ぶものなら単純に負担軽減となります。
安価
汎用プラスチックと呼ばれる需要の高いプラスチックは、一般的に金属よりも安価に入手できます。
なので、プラスチックに置き換えることでコストダウンが可能です。
ただし、エンジニアリングプラスチックのような特殊なプラスチックの中には金属よりも高価なものもあるので、注意が必要です。
成形しやすい
プラスチックは軽く、融点が低いので金属に比べて成形しやすいです。
溶かすために溶鉱炉(キューポラ)のような超高温の設備を必要とせず、射出成形やブロー成形といった多彩な成形方法を選べます。
金属のかわりに使われることの多いプラスチック素材
ポリプロピレン(PP)
高い耐衝撃性をもつポリプロピレンは金属のかわりに使われることの多いプラスチックです。
軽くて丈夫というシンプルな強みはさまざまなものに応用しやすく、消防車用タンクのような特殊用途でも活躍します。
ポリエチレン(PE)
ポリエチレンは高い絶縁性や防水性をもつため、海底ケーブルや配管用パイプの素材として有名です。
歯車やタンクといった工業用部品・設備としても活躍しています。
ポリカーボネート(PC)
高い耐衝撃性を備えているのでケースや自動車のバンパーとして利用されています。
塩ビ(塩化ビニル樹脂、PVC)
高い耐候性や劣化しにくい性質をもつので水道管などの配管で利用されています。金属に比べて錆びない、腐食しにくいといったメリットがあります。
ポリアミド(ナイロン樹脂)
油を給油しなくても摩擦に強いという性質をもつため、ギアのような駆動部品の素材として採用されています。
金属からプラスチックに変更するときの注意点
プラスチックは優れた性質をもち用途によっては金属の上位互換とも言える性能を発揮します。
しかし、金属には金属の優れた特性があるため、何も考えずにプラスチックへ置き換えてしまうと思わぬアクシデントを産むかもしれません。
そこで金属からプラスチックへの変更を考えるさいに気をつける事をまとめました。
・耐熱性
プラスチックは金属に比べて熱に弱いです。
耐熱性を強化したエンジニアリングプラスチックであれば200℃をこえるような環境でも大丈夫ですが、もっと高熱の環境だとプラスチックを利用するのは難しいでしょう。
・耐薬品性
プラスチックは種類によってさまざまな耐薬品性をもちます。
業務で扱う薬品によってプラスチックのほうがいい場所、金属の方がいい場所があります。
・寒冷地耐性
プラスチックは気温の低い環境では脆くなってしまうものが多いです。
寒冷地仕様のプラスチックもあります。
・耐候性
塩ビのように高い耐候性をもつプラスチックとポリエチレンのように紫外線などによって脆くなってしまうものがあります。
強度や耐候性の兼ね合いによっては金属の方がいい場合があります。
金属のかわりにプラスチック加工製品が利用されている事例
自動車
自動車部品は金属からプラスチックへの変更が多い分野の一つです。高温になるため全ての部品とはいきませんが、電装やエンジンの一部で利用されています。
燃費の問題から軽量化に非常に熱心なのが自動車業界です。
少し前はアルミなど軽金属への置き換えが盛んでしたが更なる軽量化のためにプラスチックへの注目が高まっています。
消防車
消防車の車体やタンクを軽量化することは運べる水の量が多くなるというメリットがあり、迅速に火災を消火するのに役立ちます。
また、錆びないので水を入れたあとのメンテナンスが楽になるというのも見逃せません。
ボート
船・ボートの船体としてプラスチックがよく利用されています。溶接と接着を組み合わせることで高強度と機密性を両立させます。
プラスチックは錆びない、よごれにくいという特徴をもつため水上で運用する船・ボートの素材にピッタリです。
まとめ
素材を金属からプラスチックへと代替するメリットについて解説させていただきました。
材料技術の発達により今までは不可能だった用途でもプラスチックの利用が広がっています。
金属に比べて軽い・安価・加工しやすいといったメリットがあるため軽量化やコストダウンを目的とした置き換えが進んでいます。
わたしたちテクトでもPP・PEを使ったプラスチック加工を取り扱っておりますので、軽量化などに興味のある事業者さまはぜひ関連ページもご覧ください。
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