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プラスチック加工素材_天然樹脂と合成樹脂(プラスチック)の違いは?

プラスチック加工に使用されるプラスチックのことを合成樹脂と呼びますが、反対に合成じゃない樹脂のことを天然樹脂と呼びます。
天然樹脂は世界中で古くから利用されており、日本でも漆器などで庶民に親しまれてきました

そんな天然樹脂ですが、どのような性質をもち、どんなものに利用されているかみなさんはご存知でしょうか?
今回の記事ではプラスチックの親戚とも言える天然樹脂にはどういった性質があるのか、代表的な天然樹脂は何かを解説します。

プラスチックは「合成樹脂」!じゃあ「天然樹脂」ってなんなの?

そもそも樹脂とは?

天然樹脂と合成樹脂の違いを説明する前に、そもそも樹脂とはなんなんでしょうか
「樹脂」は樹木の脂(あぶら)という名前の通り樹木から採取するものです。天然ゴムなどが有名ですが、樹木の中には樹皮を傷付けることにより特殊な性質をもった液体を分泌するものがあります

こうして樹木から染み出した液体が空気に触れて個体となったものを樹脂と呼びます。

天然樹脂と合成樹脂の違い

天然樹脂と合成樹脂の違いは「天然」と「合成」、自然由来か人工的に作られたものかで区別されます。合成樹脂(プラスチック)が発明される前は樹脂という言葉は天然樹脂を指すものでした
しかし、石油や繊維から合成樹脂が作られるようになると自然由来の樹脂を天然樹脂、化学的に合成された樹脂を合成樹脂と呼んで区別するようになりました。

基本的に天然樹脂といえば天然ゴム漆(うるし)松脂など植物由来の素材のことです。
しかし、鼈甲(べっこう)や膠(にかわ)、卵白のような動物由来の素材や天然アスファルトのような鉱物由来の素材を含めることもあります。

代表的な天然樹脂とその利用法

素材名 説明 主な用途
天然ゴム ゴムノキからとれる天然樹脂で、高い弾力性をもつため幅広い用途で利用されている。
コロンブスが探検から持ち帰りヨーロッパに伝えた。
消しゴム、タイヤ、ホース
漆(うるし) 漆は一度固まると湿気や熱、アルコール、油などに耐性をもつようになるので食器や家具の塗料として広く利用されている。 漆器、接着剤
松脂(ロジン) 松からとれる天然樹脂。滑り止めとして野球やホッケー、ボルダリングなどで利用されている。
バイオリンをはじめ弦楽器の弓に塗って滑りを調整するといった用途もある。
滑り止め、ロジンバッグ、楽器用塗布剤
琥珀(アンバー) 天然樹脂の化石、宝石やニスの原料として利用されている。
まれに古代の虫を取り込んだものが見つかる。
宝飾品、ニス
鼈甲(べっこう) タイマイというウミガメの甲羅を加工したもの。
べっこう細工としてさまざまなものに加工されている
くし、かんざし、メガネフレーム
膠(にかわ) 低純度のゼラチンのことで、動物の皮膚や骨にあるコラーゲンに熱を加え抽出したもの。
5000年以上前から接着剤として利用されており、ツタンカーメンの墓からも膠を使った家具が出土している。
美術品、接着剤

まとめ

プラスチック(合成樹脂)と対をなす存在である天然樹脂について解説しました。
プラスチック加工では利用しないものの、プラスチックと同じように広く普及しています。
漆器のように日本の伝統文化と深く関わるものも多く日本人にとっても馴染みのある素材です。

合成樹脂については以下の記事で詳しく解説しているのでよろしければこちらもご覧ください。

プラスチック(合成樹脂)とは?プラスチックについてわかりやすく解説
・プラスチック加工の依頼時に役立つ!すぐわかる!プラスチック素材のまとめ