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プラスチック加工における素材の特徴~ポリプロピレン(PP)編~

ポリプロピレンは汎用プラスチックの1つでとても高い需要があります

 

プラスチック加工で使用されるポリプロピレン(PP)とは4大汎用プラスチックの1つです。生産量はポリエチレン(PE)に次ぐ第2位となっており、プラスチック加工でもよく利用されている高い需要をもつ素材です。
軽量な素材でありながら丈夫で傷がつきにくい性質を持つことや耐薬品性耐摩耗性耐衝撃性といった性質にすぐれているため自動車部品やポリタンク、医療機器などはば広い用途で利用されています。
耐熱性も高いので電子レンジ対応容器にも使われています。身の回りのプラスチック製品を調べてみればポリプロピレン製品の多さに驚くでしょう。
加工性の高さも大きな特徴で、複雑な形でも成形・加工できるため射出成形やブロー成形のように金型をつかった大量生産にも向いています。

  • 4大汎用プラスチック ・・・ ポリエチレン (PE)、ポリプロピレン (PP)、ポリスチレン (PS)、ポリ塩化ビニル (PVC)

ポリプロピレンの長所

軽量

ポリプロピレンは比重が1よりも低いため水に浮かぶほど軽いです。
そのため、軽量化を目的として使用されることもあります。

丈夫

衝撃強度、引っ張り強度、圧縮強度に優れた非常に丈夫な素材です。
表面が硬いため耐摩耗性が高くひっかき傷等ががつきにくいです。

耐熱性

常用耐熱温度が100℃~140℃と高く、電子レンジ対応製品などにも使われています。

耐薬品性

薬品と反応しづらいため化学実験の道具や薬品槽として利用できます。
注射器のような医療機器の素材としても採用されています。

生態適合性

ポリプロピレンは生体適合性樹脂の1つで医療用プラスチックとして利用されています。
異物反応や拒絶反応を起こしにくいため体内に埋め込む医療機器の部品として使われます。

加工性

加工性が高く切削加工や曲げ加工、大量生産向けの射出成形、ブロー成形といった成形加工に適性があります。

絶縁性

絶縁性をもちます。

ポリプロピレンの短所

接着性

そのままでは接着がしづらいため、接着する場合にはなんらかの処理をする必要があります。

印刷性

印刷性が悪く、印刷をする場合には表面処理が必要となります。

耐候性

紫外線に弱いためそのままでは屋外での使用に適しません。屋外で使用する場合添加剤を入れるといった処理が必要となります。

低温だと脆い

低温下だと脆く壊れやすいです。

プラスチック加工素材ポリプロピレン(PP)の用途

ケース、タンク

ポリプロピレンは頑丈なのでビールケースやポリタンクのように重いものを入れるケースコンテナタンクとして活躍しています。

プラスチックパレット

フォークリフトで荷物を運ぶときに使用するプラスチックパレットの素材としてPPが使われています。
軽くて丈夫なことや燃えても有毒ガスが発生しない特性をもつことから需要は高いです。
また、水分の影響をほとんど受けないため湿度にも強く屋外での利用にも適しています。再生プラスチックをつかったリサイクル製品もあります。

医療機器

加工性や生体適合性が高いため注射器や縫合糸のほか体内に埋め込む医療機器の素材として使われています。
また、耐薬品性が高いため薬品槽といった用途でも用いられています。

自動車部品

軽量さと丈夫さをあわせもつPPは自動車の軽量化に役立つため内装や電装品によく使われています。
丈夫さや、さびに強い性質、ちょっとした衝撃なら元に戻る復元性があるためバンパーのような外装としてもPP素材が選ばれており、活躍は多岐に渡ります。

消防車

軽くて丈夫な特性を利用して消防車のタンクやボディにポリプロピレンが使われています
2000リットルのタンクの場合、鉄製タンクに比べて400kgも軽くなるためタンク容量の増大や積載量の増加が見込めます。
ポリプロピレンはプラスチックでありながら非常に丈夫な素材であるためこうした用途にも使えるのが強みです。
テクトでの事例はコチラです

食品容器

お弁当の容器やストロー、ケチャップ、プリンのような食品容器として利用されています。 熱にも強いので電子レンジ対応容器としての利用も多いです。
また、ペットボトルのキャップにもこのPP素材が使われています。PET樹脂は硬いのでキャップにPPやPEのような柔らかい樹脂を使うことで気密性を高めています。

ご相談いただければ、現在の素材に変わって対応可能かご提案しますので、
お気軽にお問い合わせください。
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ポリプロピレンの環境への影響

リサイクルに適したポリプロピレン

ポリプロピレンはリサイクル性が比較的高く再生利用をするマテリアルリサイクル、原料化して再利用するケミカルリサイクル、燃料として役立てるサーマルリサイクルでのリサイクルが可能です。
プラスチックの燃焼と言えばダイオキシンが気になりますが、ポリプロピレンは完全燃焼時に水と二酸化炭素になり有毒ガスは発生しません
自治体にもよりますが家庭ゴミのPP素材の分別とリサイクルを行っているところもあり、ゴミの分別で集められた廃棄プラスチックはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンに分類されたあと、高純度・単一素材の再生樹脂ペレットとして加工されます。
ポリプロピレンは熱可塑性(常温では変形しないが加熱すると柔らかくなり、冷やすと固まる性質)に優れているため再利用しやすいプラスチックです。
こうして生産された再生樹脂ペレットは建築資材や日用品のような新たなプラスチック製品として再利用されています。

日本のプラスチックのリサイクル率は84%と世界的に見ても高水準ですが、その大半はサーマルリサイクルによるものであり海洋プラスチック問題には有効であるものの再利用できない、CO2が発生してしまうといった持続可能性の面では問題もあります。
今回ご紹介したポリプロピレンは腐食に強いのでプラスチックパレットなどの用途であれば比較的長く使える素材です。プラスチック製品を長く大切に使っていただくことも環境負荷の軽減に役立ちますのでぜひ大切にお使いください。

その他のプラスチック素材の性質について

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