コストをかけずにプラスチック加工するには?コスト削減のための設計・素材の見直し方

「プラスチックを使いたいけど、コストが気になる…」そんな悩みを抱えている方は少なくありません。
プラスチックの原材料であるナフサは石油から作られるため、為替や原油価格の影響を受けやすく、近年は価格の上昇傾向が続いています。
しかし、コストの問題は設計や加工のプロセスを見直すことで、大きく改善できるケースがあります。
この記事では、プラスチック加工のコストを抑えるための具体的な方法を、設計・素材・工法の3つの視点からわかりやすくご紹介します。
プラスチック加工のコスト、何が影響しているの?
プラスチック加工のコストは、主に以下の要因で決まります。
- 材料の量:使う樹脂が多ければ多いほど、コストは上がる
- 材料の種類:高性能な素材ほど単価が高い
- 加工の工程数:工程が多いほど時間と手間がかかる
- 生産数:少量生産より大量生産の方が1個あたりのコストが下がる
これらを踏まえると、コスト削減のアプローチは「いかに材料と工程をムダなく使うか」に集約されます。
設計の工夫で素材のムダを減らす

使う樹脂の量を減らすことは、原材料費を直接抑えるもっともシンプルな方法です。
規格サイズに合わせた設計
プラスチックの板材や棒材には、市場に流通している「規格サイズ」があります(素材によって異なりますが、例えば厚さ5mm、10mm、20mmなど)。
切削加工(材料を削り出して形をつくる方法)では、規格サイズにできるだけ近い形で設計することで、削り落とす量が減り、材料のムダを抑えられます。
肉抜きで軽くする
「肉抜き(肉盗み)」とは、製品の強度に影響しない部分をあえて空洞にする設計のことです。
たとえば、プラスチック製の椅子の裏側や家電製品の内部に見られる「格子状のくぼみ」がその一例です。見えない部分を削ることで、強度を保ちながら材料を節約できます。
ランナーを減らす(射出成形の場合)
射出成形とは、溶かしたプラスチックを金型に流し込んで成形する方法です。このとき、材料を型へと導く「通り道(ランナー)」が発生しますが、成形後は不要になるため廃棄されます。
ランナーを短くする設計にしたり、「ホットランナー方式(ランナー部分を加熱し続けて固まらせず、廃棄ランナーを減らす仕組み)」を採用することで、材料のムダを大幅に減らすことができます。
中空・ハニカム構造を活用する(3Dプリンタの場合)
3Dプリンタを使った製造では、内部を空洞にした「中空構造」や、ハチの巣のような格子状の「ハニカム構造」を取り入れることができます。
これにより、外側の強度を保ちながら使用する材料を大幅に削減できます。試作品の製作ではとくに有効な方法です。
素材の見直しでコストを下げる

高性能プラスチックから汎用プラスチックへの切り替え
プラスチックには、耐熱性・耐薬品性など優れた性能を持つ「エンジニアリングプラスチック(エンプラ)」と、コスト重視の「汎用プラスチック」があります。
製品の用途をあらためて確認し、「そこまで高性能でなくても大丈夫」な部分に汎用プラスチックを使うだけで、材料単価を大きく下げられます。
リサイクル材の活用
外から見えない内部部品や、強度の要求がそれほど高くない部品には、リサイクル材の活用も有効です。
すべての材料を置き換えなくても、一部をリサイクル材にするだけで材料費の削減につながります。コスト削減と環境負荷の低減を同時に実現できる方法として注目されています。
プラスチック以外の素材との組み合わせ
部品によっては、プラスチックにこだわらず金属など他の素材と組み合わせることで、全体のコストを下げつつ強度を上げられるケースもあります。
工法ごとのコスト削減ポイント
| 状況 | おすすめの工法 | コストを抑えるポイント |
|---|---|---|
| 数は少ないが、精度が欲しい | 切削加工 | 高価な金型が不要、規格サイズの板から最短工程で削る |
| 形を検証中の試作品 | 3Dプリンタ | 内部を中空・ハニカム構造にして材料を最小限にする |
| デザインが決まった大量生産 | 射出成形 | 設計段階で「肉抜き」を徹底し、1個あたりの樹脂量を減らす |
まとめ
プラスチック加工のコスト削減は、単純な値下げ交渉だけでなく、設計・素材・工法の見直しによって実現できることがたくさんあります。
| アプローチ | 主な方法 |
|---|---|
| 設計の工夫 | 規格サイズへの統一、肉抜き、ランナー削減、中空構造 |
| 素材の変更 | 汎用プラスチックへの切り替え、リサイクル材の活用 |
| 工法の選択 | 生産数や目的に合った工法を選ぶ |
こうした取り組みは費用の節約だけでなく、材料のムダを減らすという点で環境にも優しい製造につながります。
「どこから手をつければいいかわからない」という場合は、 お気軽に当社にご相談ください。
設計段階からコストを意識した 最適な方法をご提案します。
プラスチック素材の種類や依頼のポイントについては以下の記事をぜひ参考にしてみてください。
・プラスチック加工の依頼時に役立つ!すぐわかる!プラスチック素材のまとめ
・プラスチック加工の依頼前に知っておきたい9つのポイント!