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「透明で割れない素材は?」プラスチック加工のよくある3つの難題とその対策

プラスチック加工では素材の種類や加工方法、追加加工などにより多くのご要望にお応えできます。
そんな、なんでもできると思われがちなプラスチック加工ですが、実は意外と難しいご依頼も存在します。
本記事では、お客様から寄せられることの多い代表的な難問と、それに対する一般的な対策をご紹介します。

難問1 透明性と強度の両立

透明なプラスチックの需要は多いです。コロナ禍時のパーテーションやライトの傘、小物類など多くの場所で活用されています。
しかし、一般的に透明性の高いプラスチックは強度で劣ることが多く、強度の高いプラスチックは透明性に劣ることが多いです。

解決方法

このような場合、耐衝撃性と透明性を併せ持つポリカーボネート(PC)が有力な候補になります。ただし、PCはアクリルなどと比べると表面が傷がつきやすいという弱点があります。  

そこで弱点を補うために、PCの表面にハードコート処理を施す方法が業界で広く採用されています。
表面加工されたポリカーボネートは、耐衝撃性・透明性を維持しつつ傷にも強くなり、車のヘッドライトカバーなどで利用されています。

難問2 複雑な形状と低コスト

プラスチック加工の依頼の中には、高度な機能を実現するために複雑な構造が必要となる場合があります。
複雑な形状をもつ製品は加工自体は可能でも、コストが大きく膨らみやすいです。

解決方法(試作、小ロット生産の場合)

試作品や少量生産の場合、初期コストを抑えるために金型を必要としない加工方法が推奨されます。

3Dプリンティング:切削では不可能な中空構造の実現や、設計の微修正に柔軟に対応できます。構造次第では一体成形で出力し部品点数を減らすことも可能です。

切削加工:精度が高く、少量の部品を比較的早く製作できます。

これらの方法なら金型が不要なため初期コストを抑えることができ、設計の修正も容易です。

難問3 金属からの置き換えで「寸法精度」を維持できるか?

軽量化やコスト削減のため、金属部品をプラスチックで置き換える「樹脂化」が注目されています。
しかし、プラスチックは温度や湿度によって収縮や変形しやすい性質があるため、ギアやハウジングのような高い寸法精度を求められる部品では代替に不安が残ります

解決方法

金属代替として実績豊富な、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)やポリフェニレンサルファイド(PPS)といったスーパーエンジニアリングプラスチックを利用します。
これらは耐熱性・剛性が高く、金属に近い寸法精度を出せる場合が多いです。
また、ポリアセタール(POM)などのエンジニアリングプラスチックや、ガラス繊維を混ぜた強化グレードを使用する方法もあります。 ただし、高性能プラスチックはコストもかかるため用途とコストのバランスを考えることが重要となります。

まとめ

プラスチック加工でよくある難問について事例と解決方法をご紹介しました。
今回紹介した方法はあくまで一例となります。会社によっては対応していなかったり、逆にもっと良い解決方法を提案してくれることもあるので事前によくご相談することをオススメします。

加工業者へ相談する際は、

  1. 何に困っているか(難問)
  2. 製品の用途や使用環境
  3. 目標とするコストや数量

を具体的に伝えることで、より良い解決方法の提案を受けやすくなります。
ぜひ、お気軽にご相談ください。