お知らせ・
技術情報

寒さに注意!プラスチックの耐寒性とは?

冬の寒さは、人だけでなくプラスチックにとっても注意が必要です。
身近なプラスチックの多くは熱可塑性樹脂(ねつかそせいじゅし)とも呼ばれ『熱で柔らかくなり、冷やすと固まる』性質を持っています。
しかしその逆、冷やしすぎると脆くなってしまうことはご存知だったでしょうか?
プラスチック素材選びではこの寒さへの強さを示す「耐寒性」という指標も用途によっては重要な意味を持ちます。

この記事ではプラスチックの性質や耐寒性、寒さに強いプラスチックについてご紹介します。

プラスチックの耐寒性とは?

プラスチックは熱可塑性という「熱で柔らかくなり、冷やすと固まる」という性質を持っています
冷やすと固まるというのは一見すると便利な性質ですが、冷やしすぎると粘り(靱性)がなくなり「低温脆化(ていおんぜいか)」という現象が起こります。
この低温脆化は多くの樹脂や一部の金属で起きる現象で、この状態になると非常に脆くなります
脆くなったプラスチックは破損しやすくなるため想定した耐久性を発揮できなくなってしまいます。

耐寒性の高いプラスチック・低いプラスチック

プラスチックの種類によって耐寒性は大きく変わります。
製品が使用される環境に応じて適切な材料を選ぶことが大切です。
身近な素材の中にも耐寒性が低いものがあり、たとえばポリプロピレン(PP)製のケースを冷凍庫に入れてしまい破損してしまったなんてこともあります。  

耐寒性はとくに屋外での利用で気になる性質なので同じく屋外向けの性質である耐候性とまとめて表にしました。

  紫外線に強い (耐候性が高い) 紫外線に弱い (耐候性が低い)
寒さに強い (耐寒性が高い) ポリカーボネート (PC)
・高い透明性、衝撃に非常に強い。
アクリル (PMMA)
・透明材で耐候◎。低温でも寸法安定性が高いが衝撃には注意。
ポリエチレン (PE)
・安価、低温での靭性が非常に高い。
寒さに中程度 (中間的) ポリ塩化ビニル (PVC)
・比較的高い耐候性を持つ。
寒さに弱い (耐寒性が低い) ポリプロピレン (PP)
・軽量で安価。低温では脆化しやすい。

ここでは一般的な性質を紹介しましたが、同じ素材であっても着色や添加剤によって特性を変化させることが可能です。
たとえば、配合により塩化ビニルの低温での耐久性を高め耐寒グレードへと向上させているメーカーもあります。  

まとめ

プラスチックの耐寒性についてご紹介しました。
冬の屋外では、低温によって樹脂の粘り(靱性)が失われ、低温脆化によって割れやすくなることがあります。
とくに最低気温が氷点下になるような地域では、素材選びで「耐寒性」と「耐候性」の両方を確認することが重要です。
本記事の表は、一般的な傾向をまとめたもので、グレードや添加剤によって樹脂の性能が大きく変わる点にご注意ください

耐寒性と同じく屋外での利用で重要となる耐候性については以下の記事でまとめていますのでこちらもぜひご参考にしてください。

プラスチックの耐候性とは?屋外で使うプラスチックはどんな素材がいいの?
夏の暑さとプラスチック:知っておきたい対策と注意点