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5分でわかる!プラスチック加工用語集 〜射出成形、切削加工、金型、どう使い分ける?〜

プラスチック加工で製品作りを考えているけど、専門用語が多くてよくわからない…そんな風に感じている人も多いのではないでしょうか?

「射出成形?切削加工?」「金型ってどうしても必要なの?」といった疑問を持つお客様は少なくありません。
専門用語をなんとなく知ってはいても、それが実際の製造でどのように関連しているのかを理解するのは意外と難しいものです。

この記事では、プラスチック加工でよく使われる用語を、「素材」「加工方法」「機械」の3つのカテゴリに分けて、5分でざっくり理解できる形で解説します。この記事を読めば、打ち合わせもスムーズに進み、理想の製品づくりに一歩近づけます。

まずは知っておきたい!プラスチックの基礎知識

プラスチックには大きく分けて2つの種類があります。まずはこの2つについて把握しましょう。

1. 熱可塑性(ねつかそせい)と熱硬化性(ねつこうかせい)

  • 熱可塑性樹脂
    熱を加えると溶けて柔らかくなり、冷やすと固まる性質を持つプラスチックです。
    この性質のおかげで、一度成形した後も再加熱して形を変えたり、リサイクルしたりすることが可能です。
    私たちが日常で使うプラスチック製品のほとんどがこれに該当します。

    • 代表的な素材: ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ABS樹脂など。
  • 熱硬化性樹脂 
    一度熱を加えて固まると、再び熱を加えても溶けない性質を持つプラスチックです。
    耐熱性や強度に優れているため、電化製品の部品や調理器具の取っ手などに使われます。

    • 代表的な素材: フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂など。

2. 汎用プラスチックとエンジニアリングプラスチック(エンプラ)

  • 汎用プラスチック
    安価で加工しやすい、一般的なプラスチックです。食器や包装フィルムなど、身近な製品に幅広く使われています。

  • エンジニアリングプラスチック(エンプラ)
    汎用プラスチックよりも、耐熱性、強度、耐久性などに優れた高性能なプラスチックです。
    「工業用のプラスチック」という意味で、自動車部品や機械部品など、高い性能が求められる分野で活躍します。

プラスチックの代表的な加工方法

プラスチックの加工方法にはさまざまな種類があります。ここでは、代表的な4つの方法を解説します。

射出成形(しゃしゅつせいけい)

プラスチックの原料を熱で溶かし、金型に流し込んで冷やし固める方法です。
たい焼きを焼くイメージを想像してみてください。
複雑な形の製品を大量に、かつ均一な品質で生産するのにもっとも適しています。

切削加工(せっさくかこう)

プラスチックの板や棒材を、刃物で削って形を整える加工方法です。
まるで木材を彫刻するように、不要な部分を削り取っていきます。
金型が不要なため、初期費用を抑えたい場合や、試作品、少量生産に向いています。

押出成形(おしだしせいけい)

熱で溶かしたプラスチックを、ところてんのように一定の断面形状を持つ金型(ダイス)から押し出し、冷却して固める方法です。
パイプ、ホース、シート、窓枠など、長く均一な断面を持つ製品を作るのに適しています。

3Dプリンター

デジタルデータをもとに、プラスチックの層を少しずつ積み重ねて立体的な造形物を作る方法です。
複雑な形状も簡単に作成でき、金型も不要なため、試作品の製作やデザインの確認に非常に便利です。
積層痕(プラスチックを重ねた時にできる凹凸)が残ったり、量産効果が見込めずコストダウンしづらいといったデメリットもあります。  

プラスチック加工でよく使われる「機械・道具」の用語

加工方法と密接に関わる機械や道具についても紹介します。

金型(かながた)

射出成形など、特定の加工方法で使われる 「製品の形を作るための型」 です。一度金型を作ってしまえば、同じ形の製品を大量に生産できますが、製作に時間とコストがかかるのが特徴です。

NC旋盤(えぬしーせんばん)

NCは数値制御(Numerical Control)のこと。コンピューターを内蔵したCNC(コンピューター数値制御)が主流となっています。
コンピューター制御で、円筒形のプラスチック素材を回転させながら刃物を当てて削る機械です。
主に、丸い形状の部品を製作する切削加工で使われます。

マシニングセンター

複数の刃物(ドリルやカッターなど)を自動で交換しながら、複雑な形状の部品を加工する機械です。切削加工の効率を大幅に高めます。

まとめ

プラスチック加工に関連する用語をまとめて紹介しました。
「熱可塑性プラスチック」の原料を「射出成形」で「金型」に流し込んで成形したり、「熱硬化性プラスチック」を「切削加工」で「NC旋盤」や「マシニングセンター」を使って削り出したり…というように、それぞれの用語は密接に関わり合っています。

これらの用語を理解することで、依頼する際のイメージが具体的になり、業者とのコミュニケーションもスムーズになります。
加工依頼時のポイントは以下の記事でまとめているので、そちらもぜひ参考にしてみてください。  

プラスチック加工の依頼前に知っておきたい9つのポイント!