夏の暑さとプラスチック:知っておきたい対策と注意点
夏の日差しが年々厳しさを増し、私たちにとって暑さ対策は欠かせないものとなっています。しかし、その暑さは私たちだけでなく、身の回りにあるプラスチック製品にも大きな影響を与えていることをご存知でしょうか?
車内のペットボトルが変形したり、屋外のプラスチック製品がボロボロになった経験がある方も多いかと思います。
この記事ではそんな夏の暑さがプラスチックに与える影響や適切にプラスチックを利用するためのポイントなどをご紹介します。
夏のプラスチック劣化の原因とは?
夏の暑さはプラスチックにも大きなダメージを与えます。
この季節の主な注意点としては、紫外線による劣化、暑さによる軟化・変形、そして化学変化があります。
紫外線による劣化
紫外線はプラスチックの劣化の主な原因の一つです。
紫外線に長時間さらされたプラスチックは分子構造が破壊され表面が白っぽくなったり、ひび割れが生じたり、弾力性がなくなり脆くなったりします。
劣化や色褪せの原因となるので、とくに屋外で利用する製品ではこの紫外線への耐性が重要となります。
暑さによる軟化・変形
プラスチックは熱可塑性という、「熱を加えると柔らかくなり、冷やすと固まる」性質を持っています。そのため、一定の温度を超えると軟化し、形状が変化してしまいます。
熱耐性の低いプラスチックや薄く成形された素材は、高温にさらされると簡単に変形してしまいます。
夏は車のダッシュボード(50~70℃になることも)や、日当たりの良い倉庫など、高温になりやすい環境が多いためこうした場所では注意が必要です。
化学変化(有害物質の溶出など)
高温環境下ではプラスチックの内部で化学変化が起こり、ガスが発生したり、成分が溶け出す可能性があります。
これにはプラスチック自身の高分子が熱によって変化する場合と、プラスチック製品の加工過程で加えられる安定剤などの「添加剤」が熱によって溶け出す場合があります。
夏に注意が必要な場所
夏の高温環境では、特定の場所にあるプラスチック製品の劣化が加速します。
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自動車の車内
日差しの強い日、閉め切った車内は短時間で50℃を超えダッシュボードなら70℃を超えることもあります。
変形や劣化の原因となるので注意が必要です。 -
屋外(庭、ベランダ、公園など)
バケツやカゴ、子供用プールを屋外で長期間放置すると紫外線と高温により劣化が進みます。
長く使った洗濯バサミが折れてしまった経験を持つ人は多いのではないでしょうか。色褪せだけでなく、強度が低下して破損しやすくなります。 -
窓際
室内であっても、窓際は直射日光が当たり、非常に高温になることがあります。
屋外と同じく紫外線や熱がプラスチックの劣化の原因となります。 -
倉庫や物置
閉め切った倉庫や物置は、直射日光は防げますが、換気が悪いと非常に高温になることがあります。
熱に弱いプラスチック製品を保管する際は、温度上昇に気を付けましょう。
風通しを良くしたり、断熱材を導入したりする対策も有効です。
夏にプラスチック製品を安全に使う方法
夏の暑さからプラスチック製品を守り、安全に利用するためには、いくつかの対策を講じることが重要です。
- 直射日光を避ける
紫外線はプラスチックに大きなダメージを与え、劣化や変形、色褪せの原因となります。
車内にプラスチック製品を放置しない、屋外のプラスチック製品は日陰に移動させるかカバーをかける、窓際に長時間置かないなど、できるだけ直射日光が当たらないようにしましょう。
- 高温を避ける
暑さはプラスチックを軟化させ、変形など劣化の原因となります。とくに、車のダッシュボード上や高温になる場所への放置は厳禁です。
- 製品の表示を確認し、適切な環境を保つ
プラスチック製品には、耐熱温度や使用推奨環境、素材名などが表示されている場合があります。
ポリカーボネートのように屋外利用に強い素材もあるので、用途に合わせて適切な素材を選ぶことが劣化を防ぎ長持ちさせるポイントです。
- 定期的な点検と交換
屋外で使用しているプラスチック製品や、日常的に高温にさらされやすい製品は、変形やひび割れ、色褪せがないか定期的に確認しましょう。
脆くなった洗濯バサミなど、劣化した製品は思わぬ破損に繋がりやすいので早めの交換がオススメです。
- プラスチック以外の素材を検討する
すべての用途でプラスチックにこだわる必要はありません。
ボトルはステンレス、食器は陶器やガラス、屋外に置くテーブルは木製にするなど、柔軟に素材を選びましょう。
まとめ
今回は、夏の環境でとくに注意するべきプラスチックの扱いについて解説しました。 夏は紫外線や暑さなど、一部のプラスチック製品にとって天敵のような季節です。
製品を長持ちさせるためには素材の特性を理解し適切な環境で利用することが重要となります。
プラスチック加工をご依頼の際は事前に用途をハッキリさせ環境に合わせた素材選びをすることが製品寿命の延長につながります。
依頼の際にご相談いただくことで最適な素材の提案なども可能です。
この記事を参考に、お手持ちのプラスチック製品をもう一度見直し、今年の夏も快適に過ごしていただけたら幸いです。