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プラスチックの耐候性とは?屋外で使うプラスチックはどんな素材がいいの?

夏の強い日差しや激しい雨、冬の厳しい寒さなど、屋外で使用されるプラスチック製品は過酷な環境にさらされています。
外に置いていたプラスチック製品が変色したり脆くなってボロボロに崩れてしまった経験を持つ人は多いのではないでしょうか?
そうした厳しい環境下で重要となるのが「耐候性」という特性です。
今回の記事ではプラスチックの屋外利用で必須とも言える特性である「耐候性」について詳しくご紹介します。

耐候性とは?

耐候性とは、屋外使用時の自然環境の変化に対して、プラスチックがどれだけ性能や外観を維持できるかを示す特性です。
耐候性が低い場合変色(黄ばみ)、亀裂、脆くなる、寸法が変化するといった劣化が起こります。

主な劣化要因

・紫外線(UV)
太陽光に含まれる紫外線は、プラスチックに変色や脆化を引き起こす最大の要因です。
とくに夏場は紫外線量が増加するため、より深刻な影響を与えます。

・温度変化
昼夜の寒暖差や季節による温度変化により、プラスチックが膨張・収縮を繰り返します。 この変化によって、亀裂や変形が生じることがあります。

・湿度、雨
高湿度環境や雨によって水分が発生すると、加水分解や寸法変化を引き起こしプラスチックの物性を低下させます。

・酸素
大気中の酸素やオゾンによる酸化反応により、プラスチックの劣化が進行します。

耐候性の高いプラスチック・低いプラスチック

次に、耐候性の高いプラスチックと低いプラスチックを紹介します。
アクリルポリカーボネートなど看板やカーポートでよく使われる素材は高い耐候性を持ちますが、家電や日用品で広く使われているポリプロピレンやポリスチレンは耐候性が低いです。
実際の利用では添加剤を使用し寒冷耐性やUV耐性などを持たせることで幅広い種類の素材が活用されています。

耐候性の高いプラスチック

・アクリル樹脂(PMMA)
優れた透明性と耐候性を持ち、10年以上屋外で使用しても透明性を維持します。 看板や建築用途で広く使用されています。

主な用途:看板、アクリルガラス、自動車部品(ヘッドライトカバーなど)、建材

・ポリカーボネート(PC)
高い耐衝撃性と耐候性を併せ持ち、カーポートの屋根材や保護カバーなどに使用されます。 UV安定剤を添加することでさらに耐候性が向上します。

主な用途:カーポート、温室、ヘルメット

・塩化ビニル(塩ビ、PVC)
塩ビは屋外で利用されるパイプや雨どい、ホース、建材など日常のさまざまな場所で利用されています。
紫外線や風雨に強く、腐食もしづらいなど高い耐候性をもつ素材の一つです。
しかし、温度変化に弱く耐熱温度は60〜80℃、氷点下では脆くなるので注意が必要です。
寒冷地では添加剤が配合された耐寒グレードのものを選ぶなど環境に合わせた選択をしましょう。

主な用途:配管、雨どい、ホース、建材、ビニールハウス

耐候性の低いプラスチック

・ポリプロピレン(PP)
汎用性が高い反面、紫外線に弱く、屋外では劣化しやすいです。

・ポリスチレン(PS)
紫外線により黄変しやすく、屋外での長期使用には適しません。

・ABS樹脂
バランスの取れた物性を持ちますが、紫外線により変色しやすい特性があります。

まとめ

今回の記事ではプラスチックの耐候性について解説しました。
耐候性はとくに屋外での利用において製品の寿命や性能に大きな影響を与える要素です。
プラスチック製品を制作の際は利用が想定される環境を十分にチェックし、素材を選ぶことが重要となります。