ジュラコン(POM)とは?プラスチック加工素材の特性や活用事例を解説!
ジュラコン(POM)というプラスチック加工素材をご存知でしょうか?
強度や摩擦耐性に優れ、なおかつ比較的安価なので機械部品から日用品まで幅広い用途で活用されています。
歯ブラシの柄やファスナーの素材としても使われるので、実はみなさんの身近にもジュラコン製品はたくさん存在しています。
今回の記事ではそんなジュラコン(POM)について解説します。
ジュラコンとは?
ジュラコンはポリオキシメチレン(POM)やポリアセタールと呼ばれるエンジニアリングプラスチックの一種です。
日本では慣例的にPOM製品をジュラコンと呼ぶことが多いですが、厳密にはジュラコンはポリプラスチック社の商標でありPOM製品すべてを指すわけではありません。
ジュラコン以外のPOM製品としてはデュポン社のデルリンなどがあります。
ジュラコンとデルリンは同じPOM製品ですが構造が違うため異なった性質を持っておりたとえば融点に違いがあります。なので、素材選びの際には注意が必要です。
ジュラコンの特徴
メリット
機械的強度
高い剛性、耐衝撃性、強度を持ち、繰り返し荷重に耐えることができます。
寸法安定性
水や湿気の影響を受けにくく、成形後の形状変化が少ないので精密な部品の製造に適しています。
潤滑性・耐摩耗性
摩擦係数が低く耐摩耗性に優れた樹脂であり、ある程度の自己潤滑性を持っています。そのため、歯車などの機械部品に適しています。
こうした特性を専門的には 摺動性(しゅうどうせい) と言います。
デメリット
耐候性
紫外線や光に弱く、変色や変形の原因となります。 屋外での利用を想定するなら安定剤の利用を検討してください。
接着性
接着性が悪く一般的な接着剤ではほとんど接着できません。パーツ同士を繋げる場合、溶着やネジによる固定など接着以外の方法が推奨されます。
MCナイロンとはどう違うの?
ジュラコンの主な代替品にMCナイロンがあります。
MCナイロンは機械的強度がジュラコンよりも高く強度が必要な部品や大型の部品に向いていますが、ジュラコンに比べて価格が高い欠点があります。
素材の特性に合わせ適材適所に使い分けることが重要です。
ジュラコンとMCナイロンの比較
強み | 弱み | |
---|---|---|
ジュラコン | 機械的強度 寸法安定性 低コスト |
難燃性が低い 耐候性が低い 接着しにくい |
MCナイロン |
高い機械的強度 |
吸水性があり寸法安定性が低い 高コスト |
活用事例
機械部品(歯車・ねじ)
高い機械的強度をもつため歯車、ねじ、軸受といった連続した負荷のかかる部品に向いています。
自動車部品
高い強度や絶縁性、耐熱性などの利点があるので自動車の内装(シフトノブなど)や燃料系部品として利用されています。
食品関連用途
POMのグレードによっては食品安全性をもち食品衛生法に適合するので食品製造機械などの食品関連の分野でも利用できます。
リコーダーやホイッスルにも使われています。
日用品
高い摩耗耐性をもつので日用品にも向いています。ジッパーやベアリングのような摩擦の起きやすい部品はジュラコンであることが多いです。
まとめ
ジュラコン(POM)についてご紹介しました。
ジュラコンという名前にはあまり聞き覚えがないひとも多いかもしれません。
しかし、エンジニアリングプラスチックのなかでは高い汎用性と低コストという強みがあるため私たちの身近な製品にも広く使われています。
強度や耐久性が必要な用途ならぜひ一度ジュラコンを検討してみてください。
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