プラスチック加工 プラスチックの性質「熱可塑性」「熱硬化性」とは?
プラスチック加工で使用されるプラスチック素材には熱で溶けるプラスチックと熱で溶けないプラスチックがあるのを知っていますか?
容器に熱い物を入れたり、火のそばに置いてしまってプラスチックを歪ませてしまった経験を持つ人も多いと思います。
一般的にはプラスチックは熱で溶けたり柔らかくなってしまうイメージが強いですが、じつは熱で溶けないタイプのプラスチックも存在します。
熱で溶けたり柔らかくなるものを「熱可塑性(ねつかそせい)プラスチック」、熱で溶けないものを「熱硬化性(ねつこうかせい)プラスチック」と呼び、どちらも特性に合わせた用途で広く利用されています。
溶けるプラスチック「熱可塑性プラスチック」の特徴
熱可塑性プラスチックは汎用プラスチックとしてよく利用されているわたしたちにとって非常に身近な樹脂です。
その性質はよくチョコレートに例えられます。チョコレートは温かい屋外に放置すると溶けて形が崩れてしまいますが、冷蔵庫で冷やせば固まります。
熱可塑性をもつプラスチックも似たような性質をもっており、常温では変形しにくいものの熱を加えることで流動性をもたせ自由に成形できます。
一度カタチを確定させても熱で溶かして新しいカタチへと変化させることができるのでリサイクルにも適しています。
メリット
・加工しやすい
・リサイクルしやすい
・成形時間が短い
加工方法
熱で溶かすことによりさまざまなカタチへと加工できます。金型に流し込んで固めたり、射出成形やブロー成形といった加工方法があります。
フィルムのような薄くて透明な製品や自動車バンパーのような丈夫で大きい製品があります。
主な熱可塑性プラスチック
・ポリエチレン(PE)
・ポリプロピレン(PP)
・塩化ビニル樹脂(塩ビ・PVC)
・ポリアミド(PA)
・ポリカーボネート(PC)
熱で溶けないプラスチック「熱硬化性プラスチック」
熱硬化性プラスチックは最初に成形するときは熱可塑性プラスチックと同じように溶かして型に流し込みます。そこからさらに加熱していくと化学反応を起こし「架橋構造」と呼ばれる構造となり硬化します。
熱可塑性プラスチックと違い一度硬化させると加熱しても溶けなくなります。
イメージとしてはお椀などの陶器を思い浮かべるとわかりやすいです。陶器は柔らかい粘土で作りますが、熱を加えて固めるともう元の粘土状態には戻りません。
メリット
・機械的強度が強い(圧縮や引っ張りなどの外力への強度が強い)
・安定性が高い
・耐熱性に優れる
加工方法
硬化する前の溶かしたプラスチックを型に流し込み、加熱して化学反応をすすめながら硬化させます。
化学反応の時間があるので熱可塑性プラスチックに比べると、成形までの時間が長くなりやすいです。
ポリウレタンのように加熱せずに成形するものもあります。
熱硬化性プラスチックは頑丈なものが多く航空機の材料にも使われています。
主な熱硬化性プラスチック
・ポリウレタン(PU)
・エポキシ樹脂(EP)
・シリコン樹脂(SI)
・メラミン樹脂(MF)
まとめ
プラスチックの重要な性質「熱可塑性」、「熱硬化性」について解説しました。
同じプラスチックであってもこうした性質の違いによって強度や耐熱性、加工性などが細かく変化します。
プラスチックの個別の特性に興味のある人は以下の記事も参考にしてみてください。