プラスチック加工素材の性質・利用例について~ポリスチレン(PS)編~
プラスチック加工でよく使われているプラスチック素材についてご紹介します。
今回ご紹介するのは断熱素材や食器、食品トレーに使われているポリスチレン(PS)です。
軽くて断熱性の高い形状で加工しやすいことや透明性が高いこと、耐候性が高いことなどからプラスチック加工で広く利用されています。
この記事ではポリスチレンとは何か、どんな性質を持っているか、どんなプラスチック加工製品に使われているのかを解説します。
ポリスチレンとは?
ポリスチレンはプラスチック加工素材の1つで建物の断熱材などに使われています。ドイツで誕生し1959年からは日本でも生産が始まりました。
4大汎用プラスチックに数えられ、プラスチック加工の中でも高い需要を誇る素材です。
発泡させやすい性質から発泡スチロールもこのポリスチレンから作られています。
気泡を含ませることで軽さと断熱性を両立できるため建材や食品の保管などでよく利用されています。
4大汎用プラスチック ・・・ ポリエチレン (PE)、ポリプロピレン (PP)、ポリスチレン (PS)、ポリ塩化ビニル (PVC)
プラスチック加工素材ポリスチレンの種類
プラスチック加工素材ポリスチレンには一般的に使われている一般用ポリスチレン(GPPS)とGPPSにゴムを配合したことで耐衝撃性を高めた耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)があります。
HIPSはゴムを加えたぶん透明度は下がってしまいますが、硬さと耐衝撃性のバランスが良いのでケースのような外装としてよく利用されています。
また、シンジオタクチックポリスチレン (SPS) というエンジニアリングプラスチック(エンプラ)も需要が高いです。
SPSは1985年に出光興産が開発した純国産プラスチックで通常のポリスチレンとは違った立体構造をもちます。
エンジニアプラスチックの中でもっとも軽い樹脂の1つであることや耐熱性の高さ、酸やアルカリに耐性があることなどから自動車部品や自転車部品、電子レンジのローラー部分などのプラスチック加工製品で使われています。
プラスチック加工素材ポリスチレンの性質
メリット
・発泡性
発泡性が高いので気泡を混ぜて硬化させることが可能です。
空気の層を作れるので断熱性が高く、重量も軽くなります。
・透明性
透明性が高いので中身を見せたい商品の容器やケースとして利用されています。
・リサイクルしやすい
ポリスチレンから作られている発泡スチロールはリサイクルのしやすい物質で2017年のリサイクル率は90.4%となっています。
発泡スチロール全体の54.4%はマテリアルリサイクルされ新しいプラスチック加工製品として再利用されます。
・耐候性
耐候性に優れているので外で使う製品に最適です。
・軽量性
ポリスチレンはプラスチックの中でも軽い素材です。
ポリプロピレン、ポリエチレンに次ぐ軽さを誇ります。
デメリット
・耐熱性
耐熱性が低く熱によって変形しやすいです。
90℃で溶解してしまうので高温下では扱いに注意が必要です。
・燃えやすい
非常に燃えやすいので火災に気を付けなければなりません。
・耐油性
油に弱く軟化や溶解してしまいます。
プラスチック加工素材ポリスチレンの用途
断熱材
発泡スチロールや押出法ポリスチレンフォームと呼ばれる断熱材としてよく利用されています。
細かな気泡で発泡し硬化したポリスチレンは軽くて断熱性の高い状態となります。
加工しやすく電熱線を使って簡単に切断して成形できるのもプラスチック加工で利用される大きなメリットでしょう。
魚のように鮮度が重要な食品の保温や建物の断熱材として使われています。
クッション用ビーズ
ビーズクッションに使われているパウダービーズの素材としてポリスチレンから作られた発泡スチロールが利用されています。
ビーズクッションは綿とは違う独特の感触や心地よさがあり人気が高いです。
食品容器
お弁当のトレーや食品の容器として使われています。 透明性が高いので中身を見せたい商品のケースに最適です。
プラスチックケース
CDケースなどに利用されています。
透明性をもつことや硬さのあることからケースのような中身を保護する役割を持つものに向いています。
着色料を加えることでさまざまなカラーバリエーションを作れるのも魅力です。
緩衝材・梱包材
精密機械の輸送時に使う緩衝材や梱包材として使われています。
充填タイプの梱包材であれば対象のカタチを選ばずに荷物を衝撃から守れます。
まとめ
4大汎用プラスチックの1つポリスチレンについて特徴や用途を解説させていただきました。
樹脂素材は種類によってさまざまな性質をもつのでプラスチック加工で製品を作るときは素材の特徴をしっかりと把握することが重要です。
以下の記事でプラスチック加工素材の分類や需要の高い素材をまとめています。プラスチック加工素材についてもっと詳しくしりたい方はぜひご覧ください。