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プラスチック加工の素材・性質や利用例~ポリエチレン(PE)編~

プラスチック加工でよく使われるプラスチック素材についてご紹介します。
今回の記事でご紹介するのはプラスチック加工素材の中でもとくに高い需要を誇るポリエチレン(PE)です。
日用品や生活雑貨、100円ショップの小物などによく使われている素材なので、みなさんの身の回りにも数多くのポリエチレン製品があるはずです。調べてみたらきっとポリエチレン製品の多さに驚くことでしょう。

この記事ではポリエチレンとは何かやどんな性質を持っているか、どんなモノに使われているかをご紹介します。

プラスチック加工素材でよく利用されるポリエチレン(PE)とは

ポリエチレンは4大汎用プラスチックの1つであり、プラスチック加工素材の中でもっとも高い生産量を誇る合成樹脂です。
絶縁性の高さや酸・アルカリ耐性、耐水性などの便利な耐性や軽くて柔らかいという加工に適した性質があるため幅広い場所で使われています。
身近なところではポリバケツやプラスチックケース、フィルム、コーティングとして利用されています。
実は牛乳パックの防水コーティングにもポリエチレンが使われています。プラスチックを使っているのは何となく知っていてもそれがポリエチレンであることまでご存知のかたは少なかったのではないでしょうか。

同じポリエチレンでも構造によって性質が大きく変わるため、高密度ポリエチレンや低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンのような分類をされることもあります。

4大汎用プラスチック ・・・ 生産量の多いプラスチックの総称。ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)のこと。

ポリエチレンの工業生産は1930年代に始まりました

ポリエチレンの発見は1898年にドイツのハンス・フォン=ペヒマンが実験中に偶然見つけたのが最初でした。
しかし実用化はその30年以上後、1930年代のイギリスで工業生産に成功するまで待つこととなります。
ポリエチレンの本格的な研究はイギリスのインペリアルケミカル工業(ICI)が海底ケーブルに使える絶縁体の素材としての可能性に注目したことから始まったといわれています。
また、ポリエチレンのもつ優れた絶縁性や防水性はレーダー開発にも大きな影響を与えました
軽量かつ絶縁性の高いポリエチレンは大きさや重さの制約が多かったレーダー開発の自由度を高め完成への大きな後押しとなりました。

戦後になるとさまざまな種類のポリエチレンが作られるようになります。1950年代に新しい製造法が考案されさらに安価に作れるようになるとポリエチレンは世界中で普及が進み身近な存在となっていきます。
成形用やフィルム用、電線などの保護被覆用など多くの製品が誕生し、今もわたしたちの身近なプラスチックとして利用されています。

プラスチック加工でのポリエチレンの性質

絶縁性

高い絶縁性をもつので電線などケーブルの外皮としてよく利用されています。
絶縁素材は静電気を帯びやすい性質をもちます。これを解決するために静電気対策を施した帯電防止機能や導電性をもつタイプのポリエチレンも開発されています。

防水性

防水性が高く、吸水性、吸湿性に優れます。
この性質のおかげで水を入れる容器や、湿気に弱い食品を保存する容器として利用できます。

柔らかく、軽い

柔らかい素材なので加工性が高くさまざま形状の製品を作成できます。また、軽いため日用品の素材としてよく利用されています。

無味無臭

ポリエチレンは臭いも味もしないため、食品など臭い移りが問題となるモノを保管するのに向いています

安価

大量生産がおこなわれているため、低価格で入手できます。
この安さもありポリエチレンはもっとも利用されているプラスチック樹脂となっています。

ポリエチレンの弱点

耐熱性

70℃以上の高温環境に弱いので、火のそばや温度が上昇する場所には弱いです。

傷がつきやすい

柔らかいことは長所でもありますが、そのぶん傷つきやすいです。

紫外線に弱い

紫外線に弱いので野外など直射日光の当たる環境では使用に向いていません。

ポリエチレンはこんなところで利用されています

ポリバケツ・ポリタンク

安価で加工がしやすいポリエチレンはバケツやタンクのように需要が高く大量生産されるプラスチック製品の素材として優れた特性を持っていると言えます。
耐油性と絶縁性をもつことから灯油のタンクとしても広く使われています。 

ケーブル

絶縁性に優れるポリエチレンはケーブルの保護被覆としてよく使われています。
電線や導線などポリエチレンは私たちの身近なところで利用されています。海中を通す海底ケーブルの外皮もこのポリエチレンです

日用品

ポリ袋やラップ、食品包装用の袋、フィルムとしてよく使われています。薄く延ばしてもそれなりに強度があり、臭いや味が移らないポリエチレンは食品を扱うのに最適です。
その他にもまな板や食器、タッパーといった日用品の素材となっています。

工業用部品

多種多様な要求仕様に合わせた工業用部品を生産可能です。
工場用のトレーやケース、タンク、歯車、パイプなどお客さまの用途によってさまざまな製品があります。

まとめ

プラスチック加工の中でもっともよく利用されている素材であるポリエチレンについてご紹介しました。
今回の記事でさまざまな用途をご紹介しましたが、非常に需要の高い素材なので紹介した用途以外でも活躍しています。

プラスチック素材についてもっと知りたい方はこちらの記事もぜひご覧ください。
・【プラスチック加工の依頼時に役立つ!】すぐにわかる!プラスチック素材の種類まとめ